脳血管の病気をした方には
とても身近な後遺症である
「嚥下障害」
病気以外にも機能低下による
嚥下障害もあり
高齢者や介護を受ける方には
多くみられる問題です
「急いで食べるからむせるの」
「すぐむせちゃうけど
落ち着くから平気よね」
そんな風におもって見ていると
誤嚥性肺炎などの重大なリスクに
繋がってしまいますよ
誤嚥性肺炎とは
食べ物や唾液が気管を通って
雑菌とともに肺に入る病気であり
高齢者や嚥下障害もちの方には
よく見られる病気です
この誤嚥性肺炎の怖いところは
寝ている間の唾液が
肺に流れ込んで起こしてしまう
「不顕性誤嚥」
というのものあり
無自覚のうちに肺炎を
起こしてしまうんです
むせてないから
誤嚥は起こしていない
とは言い切れないんです
誤嚥性肺炎の治療は
絶飲食です
高齢者にとって数日の絶飲食は
とても致命的なものです
体力低下・機能低下まったなしです
それでも止めなければ
誤嚥を続けてしまい
どんどん悪化してしまいます
食べることでの脳への刺激も
無くなってしまうため
認知面の低下にも
影響しかねません
誤嚥性肺炎をきっかけに
寝たきりになってしまった
ということもよくある話です
肺炎は全死因のトップ5に入ります
それぐらい
誤嚥性肺炎って怖いんです
だからこそ私たち含め支える側は
誤嚥性肺炎を起こさないよう、
早期発見・早期治療ができるよう
気をつけていく必要があるんです
【嚥下障害への対策】
嚥下障害がある場合
適切な形状の食事・水分の状態
で食事を提供することが
必要になります
ただ、嚥下機能が低下している
というのがどういった状態か
多くは想像できませんよね
では、どういった状態が
嚥下障害の疑いがあるのか
兆候について学んでいきましょう!
・食後むせることが多い
・食事中に咳込む
・声がかすれ、ごろごろとした音になる
・風邪を引いているわけではないが
明らかに痰が増えた
・微熱が続く
これらの症状がある場合には
嚥下機能が低下している可能性が高く
早めに医師や言語聴覚士(ST)に相談し
嚥下機能の評価をしてもらうことを
おすすめします
微熱が続いている場合、
痰の量が明らかに増えた場合
軽度の誤嚥性肺炎を起こしている
可能性がありますので
受診をし、症状を伝えてください
【嚥下障害の方の食事】
次に嚥下障害になってしまった場合
どういった形態の食事、ケアが
必要になるかを紹介します
病院では嚥下障害のある方に対して
白米は
「普通」
「やわめ」
「おかゆ」
「重湯」
に分けられ、おかずでは
「一口大食」
「刻み食」
「刻み+とろみ」
「ムース」
「ペースト」
と細かく分かれます
(病院によって表記は異なります)
<刻み+とろみ>というのは
おかずを刻んだ上に
餡や無味のとろみソース
をかけたものです
形態の検討は
咀嚼の状況も影響するため
専門のスタッフが慎重に
選定しています
飲み物やみそ汁は
とろみ剤と呼ばれる粉で
とろみを適切な硬さにまでつけて
用意をします
とにかく固くすれば
誤嚥をしないというわけでもないですし
美味しさが損なわれる面もあるので
一概にとろみをガンガンつければ
いいというものではありません
食事の形態を気をつけたら
次はゆっくり食べられるよう
サポートをしてあげましょう
男性ですと
仕事の業種上急いで食べることが
癖になってしまっている方がいます
女性も家事・育児に追われながら
食事をしていたため早食いの癖が
残っている方もいます
大口のスプーンで
多くの量を口に入れる
というのも癖の一つですね
ただ、これでは十分に咀嚼できず
飲み込むにも力が必要になり
誤嚥してしまう可能性があるので
スプーンの大きさを小さくしたり
一口のサイズを小さくしたり
詰め込みすぎていたら声をかけたり
こちら側で調整して
あげるようにしましょう
このとき
食べる姿勢も大事になります
「え、姿勢?」
と思ったかもしれません
では
少量のお水か唾液で
試してもらいたいのですが
首を前にうなずいた状態で飲み込むのと
首を後ろに傾け、上を向いて飲み込むの
どちらが楽に飲み込めましたか?
もちろんうなずいた状態ですよね
首の角度によって
こんなにも飲み込みやすさが
違うんです
いい姿勢で食事をとるということは
誤嚥を防ぐ目的があります
筋力が落ちてくると
姿勢を保持することが
難しくなってしまうため
クッション等で支えてあげるように
してあげてください
食べ物で気をつけてもらいたいのが
口のなかでぽろぽろと崩れるもの、
まとまらないものは
誤嚥・窒息してしまう
可能性が高いため避けた方がいいです
例えばひき肉、茹で卵(固ゆで)、
パン類ですね
人が食べ物を飲み込むとき
唾液と混ぜてある程度
まとまってから飲み込んでいます
それが年を重ねると唾液量が減り、
舌の動きが悪くなることで
食べ物がまとまりずらくなる
そこに急いで食べる
などの要因が絡むと
簡単に誤嚥・窒息してしまいます
ですので食卓に出すときには
とろみや餡をかけるなど注意が必要です
これらを参考に
検査を受けた際には
どういった形態・とろみの程度が必要か
きちんと説明を受けましょう
とろみ剤については
ドラッグストア等で売られています
とろみ剤のサンプルなんかも
もらえたらもらっておくといいですね
【嚥下リハビリ】
低下してしまった嚥下機能を
ただ時の流れに身を任せて
悪くなっていくのを見守る
のではなく
リハビリを通して
機能維持・向上を目指すことが
誤嚥性肺炎・窒息を予防するために
必要になってきます
リハビリ、というと
どうしても専門の方と
マンツーマンで行ってもらう
ものを想像しがちですが
ご家族さんでも
一緒に取り組めるメニューがあります
言語聴覚士からリハビリメニューを
教わって一緒に取り組んでいる
という方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか
嚥下障害に対しては
飲み込む力以外にも
舌の力、口をあける力
も大切になります
なので
唇や舌を動かずエクササイズ
(例えば舌を前後に動かしたり
口を大きく開けて閉じる動き)や
唾液を意識的に飲み込む
というのがリハビリとして
行われます
ネットでも参考になる
リハビリメニューが出ているので
見てみるといいですね!
もちろんリハビリスタッフに
相談するのもありです
体の機能というのは
使わなければ落ちていきます
頻度が少なくても落ちます
機能を維持するためにも
食事以外でも嚥下機能を使う
習慣というのを
持っておくといいですよね♪
【早期発見、早期対処が大事】
嚥下障害は家族がサインに気づき
適切な食事やリハビリを
取り入れることで
悪化を防いだり
誤嚥性肺炎・窒息を防ぐことができます
食べるというのは
三大欲求のなかのひとつです
「食べることが好き!」
という方がいたり
入院中なんかは
「食べることだけが楽しみ」
という方がいるほど
食事というのはとても
嬉しい・楽しい・幸せな気持ちに
させてくれるものです
それを嚥下障害によって
苦しい時間になってしまったら
どれだけ悲しいでしょうか
食べられなくなったらもう死ぬ時だ
なんていう方もいます
それぐらい大きな意味をもつ食事を
少しでも長くもてるためには
日ごろから機能の低下がないか、
という観察と
嚥下機能に応じた食事の提供により
誤嚥性肺炎・窒息を防ぐ
という対処
がとても重要になるんです
食事を安心して楽しめるよう
今回の記事を参考に
環境を整えていきましょう♪